この身体 いざ天空に 放らむと 窓に乗り出し レールが冷たい #短歌

捨てきれぬ私の身体もてあまし 部屋に溜まったゴミと沈みて #短歌

塊の肉を大きく頬張って 夜会う君の体思い出す #短歌

にっこりと美味しい味と呼ぶ君の 瞳はミカヅキ舌はウミヘビ #短歌

歌が来ぬ日記に語る事もなし 世間に馴染みし平凡な日々 #短歌

何となく水に挿ししつる草が一月生きて根を生やし出す #短歌

君のこと狙いしなれど私より 妹よりも若いと知って #短歌

にっこりと君に微笑むわたくしが 君を狙いしをまだ知らぬ君 #短歌

口の端の筋肉震え 老け込んだ 我が身を呪う 社会復帰日 #短歌

立ち続け口角上げて声高め この世の女子のげに恐ろしき #短歌

唇をなめらかにする技術とかずっと磨いて来てみたのですが #短歌

照明用写真に写るブスの顔 これを世間に向けているのか #短歌

琴線を忘るる時はカラッポの 時にあらずや満たされし秋 #短歌

見上げれば空の十六夜誘ってる そうだ歌でも詠んでみようか #短歌

真実の私の顔を改めて目に焼き付ける証明写真の傍 #短歌

ごぉんごぉん洗濯機が回ります 私の指示で一晩かけて #短歌

待機してすぐに逃げ込む夢現 君に触れるいく夜の始まりを #短歌

つけ麺と餃子6つを食べ終えて 今日の時給と相殺させる #短歌

異性から声かけられて安堵する 秋の夜風に鼻歌のせる #短歌

フランス風サンドイッチにパイ１つ ブルーのケースに豊かさを見る #短歌

水の底動かぬ石は何思う 問い始めつつ眠さにに負けて #短歌

スタートの前だからこその気もそぞろ 頭に入らぬページめくりつつ #短歌

明日からはまた予定など入るだろう 予感噛み締め暇を愉しむ #短歌

背中から汗が噴き出すようになり再び流れるイノチに感謝 #短歌

1匹の褐色の虫に生活のほころびを見たベッドで反省 #短歌

浮き立った心で見るはウィンドウのchicとやらを着こなすマネキン #短歌

街に出て遅れを知るやスカートを 慌てて買い足す復帰前の週 #短歌

満たされて何も響かぬこともある 贅沢に歌を聞き捨てる夜 #短歌

お金出しCD買って本読んだ 社会に「ただいま」そっと呟く #短歌

フォークとか 何かの影とか どけていく 写真のような 写真を撮るため #短歌