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読書:短歌パラダイス(小林恭二)

短歌パラダイス―歌合二十四番勝負 (岩波新書)

短歌パラダイス―歌合二十四番勝負 (岩波新書)

 インターネットで短歌について調べていて、斉藤斎藤さんという歌人が本著を読ん短歌作りを始めたと知った。しかも、今の私とほぼ同世代のときとのことであった。これは「あやかりたい」と思って、本屋で思わず買ってしまった。

 

 本著は20年前の歌合の記録である。歌合とは、複数の歌人を幾つかのグループに分けて、第に合わせた歌を読みあい優劣をつけるという遊び。本著では当時の若手歌人が一堂に会して一泊二日で歌の真剣勝負を行っている。

 

 私は溢れ出す気持ちを処理するために短歌を始めた。読書感想文すら字数を埋めるのが必死だった私がどうしてか、毎日幾つもの短歌を作ることができている。しかも、たくさんの歌を作るうちに、自分の内面を深く知ることができて、この出会いに感謝している。

 

 本著を読んで驚かされたのは、短歌は私のような思いだけで作られていないということ。私は、理想と現実のギャップに端を発した歌がほとんどである。一方で、歌人たちの感受性は世相、自然、こまやかな生活の中の美しさなど様々に伸ばされていた。また、テクニックも多彩であり、短歌の歴史をよく汲んでいないととてもできない歌が多かった。つまり、私の勉強不足がとてもよくわかった。(よく今まで勉強せずにネットに載せたり投稿しようとしていたものである!)

 

 そして、最大に驚かされたのが人によって「作風」というものがあるということだった。同じ題を使っても全く人によって作る歌は異なるのだ。特に感動させられたのは紀野恵さんだ。私とは異なり、無駄に私生活を読む歌ではないが、綺麗な日本語のなかに情景が浮かび上がる歌が多かった。

 

 どうやら、短歌は気持ちを吐き出すためだけの道具にするのはもったいないようだ。もしかしたら、私にも短歌の作風があるのかもしれない。作り続けて、もっとうまくなりたいと思ってしまった。

 

 途中から、題が提示されると歌人たちの作品を見る前に、自分で歌を作ってみるようになった。いったい、私の歌はどのように他のひとの目に映るのであろうか。最後に、著者がこのような企画を行った意義として、日本の芸術は場の中で生まれてきており、その伝統を継承させたいからと述べていた。他の人達と評価を重ね会うことで、共作的に作品を作っていくとのことである。

 

 他の作品をよく読み、読んでもらい、ぜひ上手くなっていきたいとおもった。