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読書:ジュエリーの世界史(山口遼)

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

ジュエリーの世界史 (新潮文庫)

 アクセサリーをつけることはあまり好きではなかった。お金をかけても意外と流行り廃れがあるし、服ほどガラッとイメージは変えられないからだ。

 

 しかし、死んだ祖母の箪笥から見つけたジュエリーを手にしてから、毎日の装いにそれらが入るようになった。ブランド物のような高価なものはなかった。ただ、昔の人のものなので現在の「プチプラ」のものとは異なる。ささやかでも、本物のシルバーやゴールドは私の服装を遥かに素敵に見せてくれることに気づいた。

 

 しかし、あまりにも貰ったものがなにからできているのかわからないので、本著を手に取った。そこまで薄く無い本であったが、毎日少しずつ楽しみに読めた。因みに心配していた世界史の知識不足も全く問題なかった。

 

 世界各地の歴史の中で代表的なジュエリーをその文化的背景と共に負う本著であるが、とても不思議なことに気づいた。最後に著者も総括している一文でまさに言い表されているのであるが、「芸術や文化というものが、必ずしも社会的正義や安定のなかから生まれるものではない」ということである。

 

 かつての王族がパトロンとなってお抱えの職人や宝石商に作らせた宝石は間違いなく時代を代表し、後世まで継がれるようなものであろう。しかし、これらは平民の搾取から生まれている。これは富の集約という側面もあるが、オリジナルなアイディアというものは、個人の歪みから生まれるという側面もあるのではないか。いま、私たちは多くの人がお金を出せばジュエリーを買える環境にいるが、皆が欲しいような最大公約数的なデザインは過去の素晴らしい作品より小粒な印象である。

 

 そして、もう一点心に残ったのが、文化は一代では成熟しないという考察であった。変化が激しい現代において、今後新しい美はどのような形になっていくのであろうか…!

 

と、ここまで書いて思ったのであるが、、、日本はジュエリーの文化はそれほどないらしいが、それでも日本独自の美の様式は存在する。おそらく、文化や芸術のあり方はそれぞれなのだ。日本の芸術についても知りたいなと感じた。